アドテック東京:F-1トークセッション

【自分が欲しいものが分かっていない消費者を、どう導くべきか?】

 

モデレーター:

菅原 健一(Moonshot Inc. CEO)

 

スピーカー:

明石 ガクト(ワンメディア株式会社 代表取締役) 

井手 直行(株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長)

箕輪 厚介(株式会社幻冬舎 編集者)

光本 勇介(株式会社バンク 代表取締役兼CEO)

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テーマ:

情報が溢れ、メディアも多様化し、フェイクニュース問題もある情報社会。
物が溢れ、売り場も多様化し、クラウドファンディングなどの未来型消費も起きている現代で、消費者は一体なにが欲しいのか自分でもわからなくなっている。
今、消費者は何を基準に消費をしているのか、またその消費はメーカーや流通が導けるものなのか、ミレニアル世代の価値観を作るワンメディアの明石氏と、新たなお金を生み出すバンク光本氏、本が売れない時代にベストセラーを作り続ける幻冬社の箕輪氏、新しいビールカルチャーを生み出したヤッホーブルーイング井手氏にそのヒントを問う。(text by 菅原健一)

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世の中の多くの消費者が、本当に自分の欲しいものがわからなくなってきています。ものだけでなく、情報が溢れ、消費する場所が多様になった今、どうすれば消費者に届けることができるのか世の中の企業は考え続けています。

しかしながら、「自分が読みたいものを本にする。市場は意識しない」と幻冬社の箕輪氏は語りました。本当にヒットする商品やサービスというのは、膨大な客観的データで裏付けられて作られるものではありません。

ロジカルにビジネスを作ってうまく行った試しがほとんどないように、「自分のやりたいことをやり通すことが重要」なのだと4名は語っていました。

そうすることで、より世間の消費者が欲しいものを作って行くことができるのではないでしょうか?ここでは、トークセッションで上がったいくつかのストーリーを紹介していきたいと思います。

01.

本が売れなかったわけじゃない、売る気が無かった。

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もともと出版業界は、消費者が求めているものからずれていたとしても、出版社に入ってしまえばライバルがほとんどおらず、既得権益のようなフィールドでした。

しかし、インターネットというものが入ってきてからは本を買って読むという行動がノーマルではなくなり、本当に読みたいと思ってもらえるものを作る必要が出てきました。

 

02.

売れるモノやサービスは属人的

今や、AbemaTV, Netflix, AmazonPrimeで人気のあるコンテンツは、リアリティショーと呼ばれる出演者のリアルが見える番組ばかりです。それを起業家に置き換えても、今はSNSの発達のおかげもあり、ユーザーとの距離が近くなっています。

そこで箕輪さんが果たした功績は、SNSに登場する起業家をリアリティショーの舞台への引っ張り出し、ビジネス書を書かせたこと。(知っている起業家が書いた)ビジネス書という嘘のない世界をユーザーに届けたことが大きかったのではないでしょうか。

 

03.

ビルの屋上からお金をばら撒きたかった 

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「ビルの屋上から1億円ばらまいたらどうなるかを実験したかった」というCASH光本氏。「小額のお金をすぐに欲しいと思うユーザーがいることはメルカリでわかっていた。その上で、CASHというサービスを作って、1億円ばらまいて見た」とのことでした。

もし、そのお金が回収できなかったとしても、その実験結果を知っていることが1億円以上の価値になると思ったそうです。

 

04.

見せ方次第でビジネスになる

新しいビジネスモデルの発想法としては、ユーザーに対しての見せ方を変えることがキーになると光本氏は語っています。

例えば、消費者金融と、奨学金やローンは構造としては同じにも関わらず、奨学金という見せ方をするだけで違うイメージになります。住宅ローンの審査が通って喜んでいる人がいるがあれも言い方を変えればただの借金です。見せ方や名前で、人の動きは変わります。

 

05.

マーケティング調査という言い訳と責任転嫁

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売れるものを作れない人は、売れるはずという調査を無駄に積み上げて無駄な時間を使っているから結局売れない。箕輪氏は売れるとか気にせず自分やりたいことをやっているからこそ、結果的に売れていることが多いが、失敗しても大したことないと思っているとのこと。

結局、調査は失敗の言い訳や、上司への説得材料でしかない。本当にイケてるものを作っている人は、自分が信じているものを作っているだけしかないのです。

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このセッションを通して4名とも共通しておっしゃられていたのは「自分が本当にやりたいことをやれ。直感で良いから」ということでした。

失敗は失敗ではない。崖に落ちて見たほうが学びって実は多いんですと光本氏。その崖から落ちることで、落ち方もわかるし、落ちたらパラダイスかもしれない。その失敗を通じて学んだことがあれば、次にフルスイングもしやすくなります。

「日本企業は実は、本気でバットを振った奴には意外と優しい。それなのに中途半端にバントする奴らで溢れているから消費者に届いていない」と明石氏は語っていました。

最初からうまくいくことよりも失敗することで、人生の目次が増えることの方が大事。組織を言い訳にする人が多いが、挑戦する人が少ない組織の中で挑戦した方が実は目立てます。

失敗を成果で資産にしていけるよう行動することが、しいてはユーザーが望む商品やサービスを作り出す原動力となって行くのです。